海と川を往き来する魚たち
シシャモやサケ・マスのように、海と川を往き来する魚たちは、通し回遊魚といわれています。30教科160種ほどがいます。魚類は世界で22,000種前後なので全体の1%未満です。ただし産業的には重要な種類が多いのです。通し回遊魚には4つのタイプが考えられています。
- 遡河回遊魚:海で成長し、河(淡水)で産卵する魚
- サケ科の魚、シシャモやイトヨ、ウグイ、マルタ、シロウオ(ハゼ科)、カワヤツメなど。
- 降河回遊魚:川で成長し、海で産卵する魚
- ウナギやカジカの仲間の一部。
- 両側回遊魚:2タイプ
- A)淡水性両側回遊魚:川で産卵し、海に降りて成長、その後川にそ上してさらに成長したのちに産卵する魚 アユ、トウヨシノボリ(ハゼ科)など
- B)海水性両側回遊魚:海で産卵し、川にそ上して成長、その後さらに海で成長して産卵 日本には典型例がいません。ヌマガレイ、ボラ、スズキなどがこれに近いと考えられています。
遡河回遊魚は北緯30度以北の北半球に多く降河回遊魚は赤道を中心とした低緯度域に多いのです。なぜ、このような分布をするのでしょうか?北半球の高緯度域は河の生産力が低く、海の生産力が高いのです。ですから、海に降りて成長すると豊富な餌が利用できます。逆に低緯度域では海の生産性が低く、河川にそ上して成長するメリットがあると考えられています。通し回遊魚は人間活動の影響を強く受ける水域に住むため、少なくなってしまった魚たちも多いのです。